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春乃玉章」(「春の秀作」)。
[作者不詳。]
[明治44年(1911)村上店発行。]
年賀はがきのデザイン33点と、南画風のはがき大の挿絵12点を収録した記録未詳の本。巻頭に明治44年に村上商店から刊行されたことが記されている。阪神タイトルには「忍」とあり、村上商店(おそらく文房具店か印刷会社)が個人的に印刷したものであろう。絵柄は「猿」「酉」「戌」「亥」の4つの干支に分けられ、明治41年から44年までの干支が描かれている。したがって、本書は1908年から1911年の間に出版社に届いた、デザイン性の高い絵葉書を再現したものと思われる。ほとんどの図版は、絵葉書のコレクターでありデザイナーでもあった飛騨桂風(飛騨弥一郎、菊水庵桂風とも)がデザインしたものと思われる。人目を引くデザインの年賀はがきを集め、その多くはメタリック顔料と正絹摺りで巧みに印刷されている。
東アジアの伝統的な装丁(袋とじ)。表紙、軽く擦れ、四肢に小さな欠損。綴じ紐切れ、本文堅固。オリジナル大全タイトルパネルが最初の葉の間にゆるく挿入されている。内側に極小さな傷み。[番号なし24葉。] 23.4 x 16.4 cm。