US$3,680.00 | お問合せ | 購入する |
英国学氏払波士著 主権論
ホッブズ,トマス[原文];文部省[編]
[東京]: 文部省編修局、明治16年(1883)
トマス・ホッブズ著『リヴァイアサン』(1651年)の邦訳。文部省が制作したもので、第二部「連邦について」を構成する9章を抄訳している。山下重一は『トマス・ホッブズ[中略]『リヴァイアサン』初邦訳』1883年(1981年)の中で、この翻訳が「当時の自由主義運動の中でミル、スペンサー、ルソーなど英仏の政治思想家の著作が人気を博し、政府批判の旗印として利用されたことに呼応して出版されたことは間違いない」と述べている。この本がこの批判に対抗するために出版されたことは確かである」(p.75)。さらに、「1883年に『主権論』を出版した文部省の意図が、自由民権思想へのアンチテーゼを提示することにあったことは明らかであり、『リヴァイアサン』第二部の省略によって第一部とのつながりが断ち切られ、君主専制主義への主張が前面に押し出された」(p.79)と続ける。西洋哲学の一端が、日本政府によって社会構造の権威として展開された興味深い例である。OCLCでは日本国外での現物は確認されていない。
東アジアの伝統的な製本様式(袋とじ)。オリジナルの台紙がある。オリジナルラッパーに軽度の傷と折れ、上部に元所有者のシール。本文1ページに元所有者のスタンプ、タイトルに少しオフセット。タイトルページに出版社の検印。[4], 76, [1]葉。22.3 x 15 cm。
❧山下重一. トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』邦訳第1号、1883年」、『英語史研究』第3号(1981年): 75-90.